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優しい声、柔らかな体温、真っ直ぐな黒髪と綺麗な青い瞳…
ぼんやりと鏡の前で、さっきの事を思い出す。
全てが初めてで、とても暖かかった。
急に抱き締められたのは驚いたけど、あのままでいたかったと欲が出てしまう。
そう言えば、彼の名前を聞く事を忘れてた…
「…はぁ…」
小さくため息を漏らして、ドレッサーに並べられた化粧品を眺める。
もし、彼が猫さんに連れて来られた王子様だったら、綺麗に化粧をして会ったのに…
鏡に写った自分を見つめる。
この真紅の瞳に、さっきまで王子様の姿が写っていたと思うだけで胸が高鳴った。
無意識にリップを唇につける。
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