two order

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    * * *  優しい声、柔らかな体温、真っ直ぐな黒髪と綺麗な青い瞳… ぼんやりと鏡の前で、さっきの事を思い出す。 全てが初めてで、とても暖かかった。 急に抱き締められたのは驚いたけど、あのままでいたかったと欲が出てしまう。 そう言えば、彼の名前を聞く事を忘れてた… 「…はぁ…」 小さくため息を漏らして、ドレッサーに並べられた化粧品を眺める。 もし、彼が猫さんに連れて来られた王子様だったら、綺麗に化粧をして会ったのに… 鏡に写った自分を見つめる。 この真紅の瞳に、さっきまで王子様の姿が写っていたと思うだけで胸が高鳴った。 無意識にリップを唇につける。
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