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翼は苦笑しながら頷いた。
待っている間、部屋の中を行ったり来たりする。
そんな事を数十回繰り返した時、「コンコンッ」と小さくノックの音が聞こえた。
慌てて椅子に座り直し、小さく深呼吸を繰り返す。
落ち着いて扉を見つめた。
「どうぞ」
「…失礼します」
軽くお辞儀をして、鈴が入って来た。
その後ろに、セレナちゃんがいる。
「連れて参りました」
「ありがとう、二人は下がってくれ」
「「御意」」
相変わらずぴったり同時に返事をして部屋を出て行った。
今、部屋には二人きり。
ドクッドクッ…
心臓が凄い速さで脈打つ。
目の前には、少し頬を赤く染めた彼女が俯いて立っていた。
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