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時刻は3時を回っていた。
流石に今から、俺の目的地に行くには遅くなりすぎている。
日が沈むと街の外をうろつく狂害がさらに凶暴になるのだ。
日没までは後3時間程度、
それで全てを終えて帰れる程、今回のお使いはガキのお使い試練レベルではない。
実際には酒場ハンターが所有するあの車、ママはグラトンとか呼んでいたが、
そのグラトンを走らせれば。3時間もあれば楽勝で着くし、仮に狂害に襲われても最強の2人が居れば全く問題ないのだが。
ママは仕事のため二日(一泊二日)振りに会った2人のために、無駄とも言える程のディナーの準備をしていのだ。
今日すぐに出発しなかった大半の理由はそれだろう。
普通考えたら酒場って言うのは、夜をメインに経営していく物だと思うのだが、
まだ明るい内に店内にいる客を全て帰してしまった。
どうやら酒場って言うのは建前らしい。
何と言うか、ハンターが集まって酒を飲むから酒場であって、酒場っぽくしているだけ
まぁ実際あんだけの宝石類を目の前にして「少ない」と言い放ったママだ。
こんな酒場を営む理由なんて一つもないのだろう。つまりは趣味だ。
当然のことながら他の客が帰される時、驚くべき事にこの酒場では当然と言うか恒例のことらしく、騒ぐ客はいなかった。
まぁその時に一緒に出て行こうと思ったのだが、ママの剛腕に俺の首根っこが拘束され、またも至近距離、
今度は片手でぶら下げられ、眼前吐息がかかる程の零距離で、
「あなたは残ってくのん。
だって私の新しい子どもなんだから、それに明日の事もちゃんとお姉ちゃん2人にお願いしないとねん。」
大量のハートとウィンクを浴びせながらのそんなこんなで、
捕まった。
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