能力

3/12
194人が本棚に入れています
本棚に追加
/203ページ
捕まって4時間、とっぷりと日が暮れて外は真っ暗になっていた。 ブロックが田舎の街と言っても街灯くらいは付いてるし、とりあえず酒場があるくらいだから夜の街として成立している。 外はある程度の喧騒があって、良い感じににぎわっているのだが、酒場ハンターは若干そこには不似合いの団欒的な空気が漂っていた。 ママが用意したディナーが異常なほどに豪華で見栄えが良く、味も格別で一見場末の酒場に置いては全くの不似合いな物だった。 マードとチルロットはずっと俺と一緒にテレビを見ていたため、全てママ1人で作ったのだろうが、 このおっさんは本気で何者なのか、タダ者じゃないとかじゃなくて、フォルムもスペックも逸脱している。 と言った方がしっくりくる。 ひょっとしたら自分とは違う何かなのかも知れないと本気で思う。宇宙人とか… 「さて、じゃあマードちゃん、チルロットちゃん、 お仕事お疲れさまでした。 今日もママ腕によりを掛けて作っちゃったから、沢山食べてねん。」 「はいママ、いただきます。」 「うぐ、はぐはぐ。」 ちゃんと食前の挨拶をするマード、ママの発言の終わりがけから食べ初めたチルロット。 軽くコメカミに青い筋が浮くママ。 「…チルロット、今日の食器洗いよろしくね。」 ママが口を開きかけた時、マードが先駆けてチルロットにこんなことを言った。 チルロットが「えー」とか文句を言ってるが、お前助けてもらったんだぞ? そんなチルロットを無視してマードはすぐにこっちに話を振って来た。 「で、あなたはここに何しに来たの? で、私たちにどんな依頼があるのかしら?」 どうやらこの3人が揃った時の会話の主導権はマードが握っているらしかった。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!