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彼は私と同じ3-Bの井野達空。
「お前…吉田とか言ったっけ?」
「…………はい」
「八重沢見てたからな、今の」
「!?」
空君が…見てた?
これには全員驚きを隠せないでいた。
吉田君も森本さんも。
「屋上で八重沢に会ってね。飯まだだって言うから一緒に食堂来たんだけど……アイツが七瀬を止めてやってって言うから俺が来たんだよ」
「井野君!空君は…」
「…わかんねぇ、けどまた屋上辺りじゃねぇかな?アイツ高い所好きだし」
「私もそう思いますよー」
間延びした緩い声が聞こえてその声の主に顔を向ける。
「空君何かあると屋上行くから、多分屋上にいると思います。行ってあげてください、李里先輩」
にっこりと笑って言う彼女は本当に可愛らしい。
「ありがとう、依ちゃん。アナタは空君の事本当に理解してるのね」
「はい、マブダチですから」
マブダチ…ね。
意外な組み合わせだけどこの緩い感じが合うのかしら?
そんな事を思いながら私は屋上へと向かった。
「居た…」
屋上に着くと胡座を掻いて座りながらフェンスの向こう側を眺める彼の姿が視界に広がる。
私はゆっくりと彼に近付いて背後でピタリと足を止めた。
「…空君」
「!」
私の声に驚いたように振り返ると直ぐいつものように片眉を下げた笑みを浮かべる。
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