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「………………。」
「………………。」
「………ちょっと」
「何スか?」
「アンタ昨日は彼女とデートだったんじゃないの!?」
寮生会の話し合いが始まる前、一番最後に室内に入って来た空君の顔を見て誰もが驚きの表情を隠せないていた。
それはそうだろう。
デートだと思っていたのに腫れた頬に貼られた湿布。
端から見たら喧嘩して来たとしか思えないのだから。
「だーかーらー友達と遊びに行くっつったじゃないッスか」
「それにしたってお前何だよ、その怪我!喧嘩でもしたのか!?」
「いや、これはー…」
私の為に喧嘩したとは流石に言えないだろう。
本人目の前にしてそんな事を言う子じゃないって事は私は良く知っている。
「あの───…」
「何?李里」
「空君の怪我、私の所為なの」
そう言うと彼は言わなくていいのに、とでも言いたげな表情で小さく息を吐いた。
「えぇ!?」
「どういうこと!?」
そこにいる全員が私と空君を交互に見るけど、空君は自分の話題にも関わらず全く興味無さそうに机に頬杖付きながら左手で携帯を弄っている。
「──昨日の夜散歩がてらコンビニに行ったら高校生の男の子5人に絡まれちゃって……ちょうどその時寮に帰る途中の空君に出くわして助けてくれたのよ」
それを聞くと全員豆鉄砲でも喰らったかのような表情を浮かべていたけれど、直ぐ郁と奥山君は空君の元へと駆け寄り褒め称え始めた。
「偉いわよ!八重沢!」
「やるじゃねぇか、空!見直したぜ」
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