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そんな光景に空君は他人事のように乾いた笑い声を挙げる。
本当クールと言うか何と言うか…
「宮野に絡んで来たのって何処の奴だったんだ?」
「情星ッスよ。俺の事知ってるっぽかったし、前絡まれた事あんのかも」
この子はそんなに絡まれていたのか…そんなツッコミを心の中で入れるも少し納得。
喧嘩慣れしていると言うか強かったし。
「まぁ無事で良かったッスよ、本当」
そう言う空君に一同納得とばかりに頷く。
「でもそれまではデートだったんだろ?」
「違うっつの。黎学の後輩と飯行ってたんスよ」
「それ本当よ、私見たから」
私の言葉を聞くと二人は心底つまらなそうな顔をして椅子へと座った。
空君はお礼でも言うように軽く私に向かって頭を下げる。
お礼を言うのは私の方なのに────。
それから話し合いも滞りなく終わってみんなでぞろぞろと部屋から出て行った、その時。
「…………空」
「!吉田じゃん」
寮生会室のドアの横に吉田君がいた。
この様子だと空君を待っていたのだろうけど郁が物凄い勢いで彼を睨み付ける。
抑えるようにと彼女の肩を叩くけれど全く効果はない。
「どしたん?」
緊張感漂う吉田君とは打って変わってあっけらかんとした空君の様子。
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