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「おーい、少年」
「!」
頭に置かれる手にゆっくりと顔を上げるとそこには朝倉先生が立っていた。
「Zの出発時間ですよー」
「あぁ、まじッスか。りょーかいです」
ゆっくりと立ち上がりながら携帯をポケットへしまう。
「頑張ってな、そらお君」
「誰ッスか、そらおって」
手渡された懐中電灯を手に校内へと進んだ。
「おぉ、案外雰囲気出てんじゃん」
校内は真っ暗に消灯されていて、非常口や消火栓のランプだけが不気味に光っている。
これは怖がりな奴はビビるかもな。
そんな事を思いつつ手始めにと一番近い保健室へと向かった。
ガラリと戸を開くといつもと変わらない室内が視界に広がる………が、絶対驚かせ役の生徒が紛れ込んでいるだろう。
あのカーテンの掛かったベッドの所とかに。
一応順番待ちの生徒や回り終わった生徒何名かが順次交代で驚かせ役を任されている。
勿論面倒臭がりの俺はやる気など無く即答で断ったけど。
ゆっくり後ろ手で戸を閉めつつ流し台の脇に置いてあるノートへ歩みを進める───が、案の定ベッド付近に差し掛かった所で何かが俺の顔面に向かって飛ばされた。
「!」
上半身を後ろに引いて寸での所で避ける。
俺の前を通過して行った物とは───
「………こんにゃく?」
釣り竿にぶら下がったこんにゃくだった。
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