肝試し大会

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ぶつからなくて良かった。 こんなん顔面にヒットしたら絶対顔臭くなる。 そんな事を思っていた最中 「あれ!?当たらんかったぞ!?」 「何をやってるんだ!お前タイミング間違えたんじゃねぇのか!?」 聞き覚えのある声────そう思ってベッドの方面を凝視しているとチラリとカーテンが開かれた。 バッチリと目が合った相手はと言うと 「やっぱ周ちゃん啓ちゃんですか」 「おま、空!コンビみたいに呼ぶんじゃねぇ!」 「つーか空ー、お前絶対避けただろ?いや、避けたに違ぇねぇ!」 騒がしいこの二人は理数科の望田啓介と特専科の佐々岡周太郎。 ちなみにどっちもタメ。 「肝試しなんだから騒ぐなよ」 「騒いでなどないぞ!文句を言ったまでだ!」 「そーだそーだ!文句だらけだぞーぃ!」 こんな時に文句なんか言われたかない。 こっちは早く帰りたいっつーのに。 「ハイハイ…文句はまた部屋でたっぷり聞くからさっさと次進ませてよ」 「よし、今日の12時に空の部屋集合な」 「今日かよ」 そんなツッコミを入れつつ保健室のノートに名前を書き込む…と、ある事に気付く。 「俺最後?」 「あぁ、そういやそうかもな。270番目」 まぁ出だし遅れたしな、なんて思ったのも束の間俺の一個前に書かれた名前に目を見開く。 「宮野……李里…」 ぽつりと誰にも聞こえない程の声音で書かれた名前を反復する。 大丈夫か?あの人────ビビりなのに。 そんな事を思いつつ騒がしい二人に軽く挨拶してからその場を去った。 その後も教員室や図書室、視聴覚室等を回ったものの余りの呆気なさに俺は欠伸が出てしまう。 「早く帰りて────…」 そんなボヤキが漏れる中次の目的地であるパソコン室の前に人影が見えた。 動く気配が無く不審に思いながらその人影にライトを当ててみると… 「ッ!?いやぁぁぁぁぁ!」 「んなッ!?」 まさかの大絶叫に逆に俺が驚いてしまい一歩後ずさる。 つかこの声… 「宮野…先輩?」 俺の問い掛けにゆっくり顔を上げるのはやっぱり半泣きの宮野先輩で。 そんな彼女を目の当たりにして俺は小さく吹き出した。 「やっぱり」 「な、何で笑うのよ!バカ空」
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