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バカって…
この状況で良くこんな強気発言が出来るもんだと感心してしまう。
「あぁ、そう。そんだけ元気がありゃ大丈夫だね。異常なしっつーことでお先ー」
ひらりと片手を振って先にパソコン室へと入ろうとすると思い切り腕を掴まれて引き止められる。
「ちょ、ちょっと!か弱い女の子をこんな所に置いて行く気!?そんな空君が異常事態だわ」
「えぇ?そんな横暴な…」
相当怖いのであろう事が窺える程の真剣な表情にまた吹き出しそうになるけれど必死に堪えながら彼女に向かって手を差し出す。
「そんな怖いなら手繋いであげましょーか?」
「なッ…!?子供扱いしないでくださる?」
妙な敬語と共に発せられる強気なその言葉に揶揄だと取られたかと悟る。
別に揶揄った訳でも冗談言った訳でも無いんだけど。
「あ、気に障ったなら失礼しました。手繋ごうなんて真面目に言える性格してないもんで」
「……本当に心配してくれてたの?」
俺の返答は予想外だったのか彼女は猫のような瞳を丸くして再度確認してきた。
「まぁ…一応ね。どんだけ怖いのか俺には想像つかないし」
我ながら素っ気ない口振りだと思う。
いつもながらと言えばいつもながらの口調なんだけれども。
「──怖いけど、空君が何か面白い話でもしてくれたら怖くなくなるかも」
すげー無茶振り。
こんなん言われて面白い話出来たら俺お笑い芸人になれるっつの。
「えー?何つー無茶振り……申し訳ないッスけど俺お笑い担当じゃないんでー。手繋ぐって事で勘弁してもらえません?」
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