8人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
突っ込んでいいものかと悩んでいた最中パソコンの画面が一斉に付き、黒の背景に白い文字で「呪」と言う字が画面いっぱいに自動で打ち込まれたかと思うと、画面の上の方から血が流れるような演出が施されていた。
凝ってるな───そんな俺の感想とは裏腹に宮野先輩は俺の腕にしがみつきながら小さく声を挙げる。
「ひッ…!」
「目瞑ってなよ」
そう言った途端俺はいきなり背後より奇襲に合った。
驚かせるレベルじゃない───懐中電灯を持っている方の腕を後ろに捻り上げられいきなりの事に懐中電灯を手離してしまい、床にぶつかる衝撃音が辺りに響き渡る。
瞬間的にヤバいと悟るも片手は宮野先輩に塞がれている為使えない。
致し方なく思い切りソイツの足を踏んでやると思わぬ衝撃だったのか、くぐもった声と共に俺の腕は解放された。
「誰?」
「え…?」
当然何が起こったかわからない先輩は懐中電灯で先ずは俺の顔を照らし、その後俺の視線の先の男を照らす。
「あ…中野君?」
「知り合い?」
「うん、同じクラスの…」
「中野和虎」
名乗るソイツに鋭い視線を送ると一瞬怯むように後退る。
「……何か用?喧嘩したいだけ…って訳じゃ無さそうだけど」
「………何でもねぇよ」
チラリと宮野先輩を見てから逃げるようにソイツは去って行った。
そこで漸く腑に落ちる。
「……モテるね、オネエサン」
「何がよ?」
自覚無しと。
ふと笑みが漏れるも気付かれないように懐中電灯を拾って奥へと進む。
ホワイトボードの前に置かれたノートに二人分の名前を書いてから俺らは足早にパソコン室を後にした。
「中野君…何だったのかしら?」
「嫉妬でしょ」
「何に対してよ?」
「……わかんないならわかんないままでいいと思うー」
正直若干面倒臭くなったのも事実。
でも俺の考えを言わせてもらうと中野は宮野先輩が好きなんだと思う。
それ以外考えらんねぇ。
最初のコメントを投稿しよう!