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どうせあなただって思ってるのだろう?
才能無いんだから辞めてしまえと。
ナンバーワンルーキーとか言ってる西川君と二人で陰口叩いているんでしょう?
西川君からは直接言われたんだから────才能ねぇなって。
僕はこんな人達大嫌いだ。
もう辞めてしまおう……こんな部活もう辞め────。
「お前、頑張ってるよ」
「────え?」
辞めよう、そう決断した時の思わぬ返しに一瞬言葉を失う。
「な、何を言うんですか。どうせ八重沢先輩だって思ってるんでしょう!?西川君と一緒に僕を嘲笑ってるんじゃないんですか!?」
荒くなる僕の口調────それに対して彼は全く表情を変えない。
「何で俺が西川と………陰口叩く程暇じゃねぇっつの」
そう言う八重沢先輩は嘘を言っているようには見えず、僕はただただ呆気に取られてしまった。
「俺知ってるよ。みんな帰った後ずっと一人でシュート練習してる事も、苦手な筋トレやってる事も」
「何で……!?」
誰にも言わずに練習していたのに、彼は……見ていてくれてた?
「アイツむかつく」
「アイツって部長…ですか?」
「うん。アイツも顧問もむかつく。表面しか見ねぇような奴俺は好きじゃない」
そう言う八重沢先輩に僕は目を丸くした。
まさか……僕と同じ考えを持っていてくれる人がいたなんて────。
「お前はすげーよ、山本。アイツらの所為で辞めるなんて勿体ないことすんな」
「…………………。」
「絶対強くなる。見返してやろうじゃん?」
「……………はい」
バスケ部でこんなにまともな人がいるなんて思わなかった。
何故彼が人気があるのか解った気がする。
僕も慕っていきます、空先輩。
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