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たまたま体育館の前を通りかかったらたまたま見かけた。
同学年の男子生徒がビクビクと震える後輩らしき子を体育館裏へ連れて行く所を。
「な、何?まさか…いびり?」
「あれ?李里?」
どうしようか迷っている時絶妙なタイミングで現れたのは聞き覚えのある声で。
「郁…ッ!良い所に…」
あまりのタイミングで現れた親友に感涙しそうになったもののそんな場合では無いと、彼女の手を引っ張って体育館の陰から顔を覗かせる。
「ちょ、ちょっ…何!?」
「しーッ!」
口許に人差し指を立てて静止をかけると郁も一緒に物陰から顔を覗かせた。
「な、何あれ?まさか…いびり?」
「わからない…でも多分そうなんだと思うわ」
そこからは酷いものだった。
後輩に浴びせられる数々の罵声。
郁は今にも飛び出したい衝動に駆られているようだった。
けど所詮私達は女。
流石に飛び出す程の勇気は出ずどうしたらいいのか二人で顔を見合わせる。
「ど、どうしよう」
「で、でも私達じゃ─────!」
そんな問答をしている最中。
不機嫌なオーラを纏った"彼"が私達の後ろから現れた。
「………空君」
「八重沢!?」
彼は私達をチラリと一瞥するものの特に返事もせず、横を通り過ぎて行く。
「………何してんスか?部長」
ドスの効いた低い声。
こんな空君を見るのは二回目だ。
郁はこんな彼を見るのは初めてなようで固唾を飲んでその様子を見守る。
「何してんスか?」
「い、いや…別に」
彼の前ではバスケ部部長も形無しだった。
しどろもどろするその姿は最早立場逆転と言った所か。
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