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勿論逃げたのもある、けど実際もうすぐ部活の時間だ。
一度部屋に戻ってジャージに着替え、ナイキのエナメルショルダーバッグを肩に掛けて学校へと向かう。
「あ─────…」
「!」
寮の扉を潜り抜けようとした所で背後から聞こえた小さな声にゆっくり振り返ると────
「……宮野先輩」
そう、宮野先輩が立っていた。
凄く久しぶりに会った気がしてしようがない。
きっとそんな事はないんだろうけど。
「……部活?」
問い掛けにコクリと一つ頷く。
「先輩は何してんの?」
「私は今自販機室で飲み物買って来た所。どうせ暇人よ」
「いや、別に何も言ってねぇし」
いつもながらの会話にふと笑みが溢れ、緩む口許を隠すように片手で覆った。
「暇なら見に来る?部活」
「え……いいの?」
「別にいいよ。つまんないかもだけど」
「ううん、行くわ」
どうして誘ったりしたんだろう。
特に何の意図も無い────けど、何故だか彼女と会うと一緒に居たいと思ってしまう。
もっと話したいと思ってしまうんだ。
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