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いつも通り練習はアップから始まる─────が、宮野先輩が来ている所為か全員全く落ち着きがない。
普段は殆ど話し掛けて来ない三年の先輩が今日は目を輝かせて話し掛けて来る上、ストレッチを組む相手も何故だか俺の取り合いのようになっている。
「なぁ、八重沢」
「何スか?」
「お前宮野さんと仲良いのか?」
「……………別に」
どいつもこいつも宮野先輩の情報が欲しいらしい。
さり気なく人気あるよね、あの人。
そう思うと何故だか無性に腹立たしくなってくる。
段々と募る不機嫌なオーラを感じ取ってか、山本と西川以外は途中から近付いてこなくなった。
「それじゃ今から紅白戦を始める」
その掛け声の後チーム分けを発表される。
俺は山本と同じチームだった………と言うことは俺PGじゃねぇか、と気付かされ自然と肩が落ちた。
「空先輩!負けないッスよ」
西川は俺と同じポジションな所為かすげー気合いが入っている。
……こうなった西川は正直とんでもなく面倒臭い。
ポジションがPGってだけでも嫌なのに────そう思うと自然と舌打ちをしていた。
「空先輩、ご機嫌ななめですか?」
「おー、もの凄くな」
こんなところで嘘吐いたってしょうがない。
バカ正直にそう答えたら山本は可笑しそうに笑った。
本当コイツは純粋だと思う。
純真無垢と言うか……つか俺に従順に付いてきている辺り確実に純真無垢か。
「センター位置について」
「八重、取ったら速攻な」
「りょーかい」
俺のチームのセンターは正レギュラーの新谷先輩。
何度も一緒に試合も出てるし俺のPGも見て来た人だからすげーやりやすい。
俺ら以外はベンチ+一年だからセンターが慣れてる人だと助かる。
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