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新谷さんは必ず勝つ。
確実に俺にボールはやってくる─────あとは…
「すぐ走れよ」
Fの下田にこっそりと耳打ちすれば彼は無言で頷いた。
下田は二年の特専科でベンチ。
三年のFが引退したら時期正レギュラー確実な奴だけど、一緒にプレーした事は殆ど無いに等しい。
下田のプレーや癖なんかは全くと言っていい程わからない。
まぁ、合わせていくしかないか。
そんな事を考えていると館内に笛の音が響き、ボールが高く放り上げられた。
西川が俺をマークしているけど気にも留めず、新谷さんが此方へと叩いたボールをジャンプして受け取りそのまま速攻でゴールへと走る下田へ投げる。
下田はボールを受け取ると二歩進んでレイアップシュートを決めた。
うん、テキスト通りな感じ。
取り敢えず俺は初めて一緒にプレーするであろうコイツらの癖を見抜く所から初めないと─────。
得意なシュートコースに苦手なシュートコース……良く見ろ。
集中しねぇと──────
「先輩パース!」
集中しねぇとコイツに勝てない。
中学からPGとして活躍してた西川に──────…。
「────楽し過ぎるっつの」
久しぶりに武者震いがした。
ボールを受け取った西川と対峙する。
俺は正直まじでPGは苦手だ。
攻撃に徹したい俺としては少し物足りないポジションであり、昨年悔しい思いをしたポジションでもある。
もう負けられない────つか、負けたくない。
またこのポジションで負けたら流石にヘコみ度合いはハンパねぇって。
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