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「空先輩」
「!」
「PGとしては俺のが上ッスよ」
その言葉と共に西川は少し腰を屈め、強烈なドライブで俺の横を抜き去る─────が。
「甘いっつの」
自分で言うのもなんだけど動態視力は悪く無い方だと思う。
それに、このくらいのドリブルする奴は中学ん時から何人も見て来たし相手にしてきた。
瞬時に俺は後ろに一歩踏み出しボールを叩く。
「…ックソ!」
それでも西川のボールに対する執念ってやつは凄まじいもので、再び転がるボールに飛び付き味方のFにパスを繋げ2点返された。
その後も両チームとも点の取り合いが続いたが、相手チームに4点リードを許したまま最終セットに持ち込まれる。
「八重沢、勝てるか?」
新谷さんの言葉に自然と口角が上がった。
「俺が負けるとでも?」
「!」
「────去年の俺とは違いますよ。動揺、しないでくださいね」
そう、去年の俺とは違う。
西川がうちに来るって分かってたらこんな努力はしなかったと思う、絶対に。
ただ同じ負け方は絶対しない、そう思ってたからこそ俺は練習に練習を重ねてきた。
PGとしての能力を向上させる為に────…。
「山本、パス出すからな。3決めろよ」
「はい!」
そして最終セットか始まる。
「俺ら勝っちゃいますよ、空先輩」
そんな余裕をかます西川を鼻で笑う。
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