先生

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確かにそれはよく言われる。 底が見えないから何考えてるかわかんないとか。 「そんな分かり難い奴でもないけどね、俺」 「分かり難すぎだと思いますよ、王子」 そんなはずはないんだけど─────その言葉を飲み込んで小さく息を吐いた。 「……気になる人ならいますよ」 「えぇぇぇ!!?」 「ちょ、声でかっ!」 先生の大絶叫につられ何人もの人が俺達に視線を向ける。 「本当に!?まじで!?うそじゃねぇよな!!?」 「うそじゃないッスよ……そんな驚くこと?」 高校生だし好きな人の一人や二人や三人……いや、それはまずいか。 兎に角好きな人くらいいたって普通じゃない? 「いやー…あたしまじでアンタは恋愛に興味無い人なんだと思ってたわー」 「…………そういう先生は?いないの?好きな人」 さり気なくいいタイミングを見計らって話を逸らしてみる。 「あたし?あたしは──────…いるよ」 「えぇぇぇ!!?」 「アンタも声でかいっつの!」 再び俺らの席は注目を浴びてしまう訳で、二人で咳払いをして落ち着きを取り戻そうと試みる。 「どんな人なん?」 「……すんごいかっこいい人。背高くてひょろっとして見えんだけど筋肉も付いてて───みたいな?」 「へぇー」 うちの学校じゃ当てはまる人が見つかんないから多分校外の人なんだろうと勝手に憶測を立ててみた。 「王子は?」 「うーん…白猫」 「白猫ー?そりゃまた何とも可愛らしいイメージだこと」 気丈でいるようで本当は繊細で寂しがり。 俺も猫だとよく言われるけどあの人だって相当猫っぽい。
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