先生

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「タメ?」 「さぁ?」 「最悪」 拗ねたように頬を膨らます先生に思わず笑い声が漏れた。 「タメ以上、ってことだけ教えてあげますよ」 「何その上からな言い方」 「ホラ、食わないんすか?俺一人でめっちゃ食いますけど」 流れてきた第二の俺の好物のえんがわを取ると先生も焦ったように次に流れてきていたマグロを取った。 「いいの?」 「何が?」 突然の問い掛けに訳も分からず首を捻らせる。 「好きな奴いるんだろ?あたしと飯なんか食いに来てる所見られたらヤバい、とかさ」 「あぁ…大丈夫っしょ。俺なんかに蓮様は勿体なさすぎだから」 「ばッ!な、に言って……」 「つか、黎学の誰が見ても付き合ってるとは思わないんじゃない?」 朝倉先生はなんだかんだ校内じゃ人気者だから嫉妬されっかもしんないけど。 「そう……だよな」 「!」 「誰が見たって先生と生徒だよな」 「蓮ちゃん?」 「………………。」 そこから先生は黙ってしまった。 そっとしておくべきかと思って俺も特に声は掛けずお互い無言のまま寿司を食した。 「ごちそーさま」 「……ご馳走様」 店を出ると先生はやっぱり無言のまま俺の後ろを歩く。 だから先生の腕を掴んで引っ張って寮へと向かう道から進行方向を変え、真逆の方へと向かった。 「ちょ、八重沢!?」 「マクド行くんでしょ?誘ったの蓮ちゃんじゃん」 そう言うと先生は一瞬ポカンとした表情を浮かべてから盛大に吹き出した。 「こっちじゃマックって言うんすよ、王子」 「西じゃマクドだったもーん」 本当この子には勝てない 解ってるんだか解ってないんだか… だんだん、だんだんとハマっていくのがわかる。 それがすごく 苦しいんだよ、八重沢──────…
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