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「努力とか嫌いそうなのになって」
「ぶっ!ははははは!」
「……………………。」
大爆笑をかます兄貴の座席を思い切り蹴りつける。
何て失礼な奴ら…。
「いや────李里ちゃん最高やん。確かに空は嫌いよな、努力」
「…………………。」
「でもそれ以上に────負けんのはもっと嫌いやもんな」
俺が朝4時頃から起きて練習するようになったのは去年の夏大敗北から。
圧倒的なGとしての力量の差をまざまざと見せ付けられ、自分より上はまだまだいると実感した。
「甘っちょろいねん、お前は」
「うるさい」
本当俺をイライラさせるポイントを知り尽くしていると言うか何というか…絶対わかって言ってる。
「空ちゃんイライラしちゃいましたかー?吸いたいんですかー?」
「やだよ、兄貴の煙草超まずいんだもん」
「ちょ、空君煙草吸ってるの!?」
あ、先輩には話したこと無かったっけか。
「李里ちゃん…コイツ悪い事はほぼ一通りやってっから。煙草くらいで驚かんといてやって」
「ひ、一通り……?」
「落ち着いたよなー、随分」
「つか……全部海輝兄といた時に巻き込まれてるだけじゃん、俺」
そう、全ての原因はコイツ。
煙草を吸わせたのもコイツだし、喧嘩のノウハウを教えてくれたのもコイツ。
しかもマッポが止めに来るようなデカい喧嘩に巻き込まれたのもコイツに無理矢理引っ張っていかれたからだ。
「悪い事は一通り、お前がやらせてきたんだろうが」
「空のクセに生意気やなー。ええやん、そんなんどっちでも」
よくねぇよ。
自己中過ぎるくらい自己中のキング海輝を前に俺はもう何も言えず、盛大に溜め息を吐いた。
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