特訓

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「ほんまお前とのバスケは燃えるわ」 「…………………。」 「その生意気な目見とると思うねん。高校ん時の自分見とるみたいでこてんぱんに倒してやるってな」 「むかつく」 それから再びオフェンスとディフェンスの掛け合いが始まる──────。 「今日はこんくらいやな」 時刻は6時ちょっと過ぎくらい。 今日は朝から部活のある日だから切り上げが普段より早め。 「……ありがとう…ございました」 「いっつも思うけど全く心こもっとらんよな、自分」 転がるボールを拾い上げそれをバウンドさせながら先輩の元へと向かう。 「先輩」 「…………………。」 この前の部活の時同様、放心状態の彼女。 「付き合わせてごめんね、つまんなかったっしょ」 そう言うと彼女はふるふると首を左右に振った。 「つまんなくない、それよりも……」 「?」 「あんなに感情を表に出す空君が見れて嬉しかった」 そんな先輩の言葉に目を丸くする。 可笑しさからふと笑みが溢れ、ボールを抱え込みながら彼女の前にしゃがみ見上げる形で彼女の目をジッと見た。 「これからもっと見れっかもよ?先輩の知らない俺が」 「!………うん」 にっこりと微笑む彼女の顔が頭から離れない。 あの時の俺からも、そして─────今の俺からも。 本当の最後の瞬間まで鮮明に脳裏に焼き付いている自分が物凄くちっぽけな存在に思えて、物凄く滑稽だった───────…。
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