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今日から3日間、うちの学校付近の神社では風鈴市が開催されているらしい。
「だからって何で俺まで行かなきゃいけないんよ」
「空君文句垂れすぎー」
「大勢のが楽しいじゃん」
「そうですよー」
「つか全く大勢じゃねぇし」
そう、今集まっているのは森本に吉田に後輩のみぃ。
4人で大勢なんて言わない…つか言わせない。
「あ────!!金魚掬いだー!」
「ミミちゃんやりたいのー?」
「やりたいです!」
「よし、じゃあ行くよ!空君」
「何で俺まで…」
引っ張られるがままに金魚掬いの前まで来て仕方無しに俺も一緒に掬い始める。
結果は────
「やっぱり空君上手だったか」
「すごいです!空先輩」
「本当何でもソツなくこなすよなー」
10匹くらい軽く掬えた俺に対して森本達は0。
どんだけ不器用なんだ。
取り敢えず2匹だけ俺は貰ったんだけど図々しい軍団のこいつらは、俺の残りの金魚を仲良く均一に分け合っていた。
金魚なんか欲しいのか…?
そんな俺の思いとは反対に金魚が貰えて有頂天気味の三人は俺を置いてどっかへ行ってしまった。
「……ったく」
最早溜め息しか出ない状況に肩を落とすと不意に服の裾を掴まれる感覚にそちらへと振り返る。
「…………………。」
「…………………。」
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