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「宮野先輩!?」
「空君!?」
聞き覚えのある声だとは思ったけどまさかな展開に俺も先輩も頭がフリーズしてしまっていたのだけど、俺の足に何かが絡まる感覚に現実に引き戻される。
「愛斗だけずるいー!優斗も!優斗も肩車ー」
「やだ!肩車は愛斗がしてもらうんだもん」
「双子ッスか?」
「うん、そうなの……ありがとう、空君」
突然のお礼に目を丸くすると先輩は緩く笑みを浮かべた。
「空君が一緒に居て一緒に捜してくれていたんでしょ?助かったわ」
「別に…こんくらい普通っしょ。つか愛斗、そろそろ降りない?」
「やーだー!」
「もう、愛斗ったら!」
「優斗もー!」
「こら、優斗!」
そんなてんやわんやな状況に俺は思わず吹き出した。
「!」
「しょーがねぇなー」
愛斗を肩車したまま優斗を片手で持ち上げる。
「抱っこじゃだめ?」
「いいよー、抱っこでいいよ!」
そう言って笑う優斗に釣られて俺も緩く笑みを浮かべた。
「愛斗ー何持ってるの?」
「おにぃちゃんの金魚ー」
「空君金魚掬いしたの?」
「あぁ、うん。森本とかとね」
そう言うと先輩はしまったと言うような表情と共に俺の腕をがっしりと掴む。
「そう、そうよね!そうに決まってるじゃないのバカ!」
「な、何?」
「こんな所空君が一人で来る訳ないじゃない!どうして気付かなかったのかしら!」
「だから何?」
「よ、依ちゃん達の所戻らなきゃじゃないのよ!」
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