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そんな会話の最中風に乗って風鈴の音が耳に届く。
「ねぇ、空君」
「何?」
「風鈴買わない?」
唐突な先輩の提案によって俺らは風鈴の出店が連なる通りへと向かった。
「優斗ねー優斗ねー、シンケンジャーの風鈴がいい!」
「愛斗もー!」
「そんなんあんの?」
意気揚々とハシャぐ二人に相槌程度の言葉しか返さない俺。
何でこんな懐かれてんだか物凄く不明だった。
「空君!」
「ぅわッ!」
突如として背後から結構な勢いで服を引っ張られる。
何事かと振り返ってみると弟君達と同じくらい目を輝かせた先輩が一軒の出店を指差していた。
「あの風鈴が欲しいの」
「はン?シンケンジャー?」
「違うわよ!その隣!」
まさかのシンケンジャー風鈴が置いてある出店を指差すもんだから驚き半分で尋ねてみるとやはり欲しい物は違ったようで。
「星形のやつ?」
「そう、それ!」
嬉々とした表情と共に俺の手を取ってその出店まで連れて行く先輩。
さながら小さい子が三人いるような状況に笑いが込み上げて来て吹き出しそうになるのを堪える。
「私はこの赤い星にしようかしら」
「愛斗と優斗はシンケンジャー?」
「「うん!」」
「空君は?」
「へ、俺?」まさか自分の分を買うとは思っておらず驚きから素っ頓狂な声が出てしまった。
「……お揃いで、買わない?記念に」
「………青」
暫く先輩の顔を見たまま固まってしまうものの並ぶ風鈴に視線を張り巡らせてから先輩と同じ星形の色違いの物を指差す。
するとまた子供のように嬉々とした表情を浮かべてから店主のおっさんに4つの風鈴を口答で告げた。
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