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夏大1日目──────
今日は我等が黎学は試合が無かった為、他校の試合を観戦していた。
「どうってことないッスよね!」
そう自信満々に言い放つは西川。
俺はお前が一番心配だ。
「八重沢、良く見とけよ。……お前がやられたらうちは終わりだ」
「…………………。」
もうやられない。
やられてたまるか。
そんな思いで試合を見ていた。
「優勝ッスよ!優勝!ね、空先輩!」
「騒ぐなっつの」
一人興奮気味に騒ぐ西川を軽く叩くと記者達が数名此方へやってきた。
「八重沢君、ちょっといいかなー?お話聞きたいんだけどー」
良く俺の特集を書いてくれていたお姉さんだと思うんだけど……物凄い猫なで声に口許が引きつる。
ちらっと監督に目をやると行けとばかりに片手を振られた。
「………何でしょーか?」
何時もながらの緩いと言われるテンポで承諾するとお姉さんは至極嬉しそうに俺の手を引いて場所を移動する。
他の記者からの大ブーイングを彼女は聞こえていないんだろうか。
「八重沢君、今年は違うポジションをやるにあたって仕上がりはどんな感じ?」
「凄く調子は良いッス。もとからPGは正直苦手だったしSGに変えてもらえて伸び伸びプレー出来るようになりました」
「今年は優勝出来そう?」
「勿論、黎学が優勝ッスよ」
自信満々に言うとお姉さんは満足感に満ち足りたような何とも言えない表情を浮かべてから微笑んだ。
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