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去って行く記者達を見送ると吉田がぽつりと声を漏らす。
「志木って…神奈川No.1ガードの志木、だよな?三年の」
「うん」
今年倒さないと彼は引退な訳で、大学まで再戦はお預けになってしまう。
「あいつ、また成長したって記事に書いてあったぞ」
「記事なんか関係ない。どんだけ強くなってんのかは当たってみねぇと」
強いの基準なんか人それぞれだ。
俺より奴のが本当に強いかもしれないし、逆もまた然り。
ただ一つ言えんのは─────
奴からは海輝兄と似たようなオーラを感じると言うこと。
それが恐怖でも有り、楽しみな要因でもある。
「空君」
「!」
「怖い?」
宮野先輩の問い掛けに目を丸くする。
どうしてこの人は俺の考えが解るのだろう。
「…………楽しみッスよ、凄く」
「……………うん、楽しそうにも見えるわ」
楽しそうに「も」か。
本当、嘘が吐けない。
「大丈夫ッスよ、負けないから」
「どこから湧いてくるのかしら。その自信は」
「あの練習見た先輩ならわかんじゃない?」
「まぁ…そうね」
そんな他愛もない会話をしてからバスケ部の元へと戻った。
明日が緒戦。
俺らのリベンジが漸く始まる─────!
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