夏大3日目

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夏大3日目─────── 今日の相手は昨日の月城高校よりも弱いと言われる高校だった。 だから… 「八重沢、ベンチ」 またかよ。 温存と言うよりイジメにしか思えなかった。 新手の嫌がらせとも言うべきか…そんなに俺って信用ねぇのかとも思う。 「何か言いたそうだな」 自然と不服な表情を浮かべていたらしくここぞとばかりに監督は突っかかってきた。 「俺ってそんな信用ないんスか?」 「八重沢」 新谷さんが俺を止めるべく肘で小突く。 でもそんなん気になんないくらい俺の不満は溜まっていたのだ。 「俺が鳳凰に分析されるとでも思ってんスか?」 「…………………。」 「簡単に分析される程甘い練習して来た覚えはない」 キッパリと言い放ってから俺はボールを持って控え室を出る。 向かう先は勿論コートで、今はちょうど王者鳳凰が試合をやっている真っ只中だった。 観客席をふらふらと歩き目立たないだろうと思われる一番後方の壁に寄りかかってその試合を観戦する。 その中でもやはり目を引くのは────── 「志木さん…か」 彼はいつでもコートに立っていた。 誰よりも注目される存在で誰よりも上手かった。 そう思い返せば思い返す程悔しくて悔しくて仕方ない。 「アホらし…何嫉妬してんだか…」 小さく溜め息を吐いてから気分を落ち着かせようと強くボールを両手で握りしめたその時… 「あの…」 「!」 「八重沢空君…ですよね?」 声を掛けて来たのは女四人の集団だった。 「そうですけど」 「やっぱり!」 「いつも雑誌見てます!あ、勿論試合も!」 「私達大ファンなんですー!」 「握手してくださいー!」
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