金だけの恋人

8/22
前へ
/351ページ
次へ
「どう?契約する?この呪い屋と。」 女性は唾を呑み込んだ。 (悠哉が憎い・・・けど呪いの半分は返ってくる・・・でも・・・許せない。散々金を吸い取って、無くなるとあっさりと別の女の所に行き、あたしを捨てた悠哉を・・・) こわばった表情で考える女性。 「へぇチャイナちゃんは、その悠哉って男に捨てられたんだ。」 女性が驚いた様な顔付きになった。 自分の考えてた事を、意音がペラペラと言い始めたからだ。 心の中を見たように。 意音は喋り続けた。 「悠哉は金だけが目的で、チャイナちゃんのお金が無くなるとあっさりと振った。よくあるお話だね。」  頬杖をつきながら意音が言う。 「どうして・・・分かるの・・・」 呆然とする女性。 「意音は人に1度触れると、好きな時にその人の心の声や、考えてる事が聞ける。」 奥の部屋から低い声が聞こえた。 女性はその声に部屋の方を向いた。 すると部屋から長身の男が出てきた。 黒い短髪に黒のシルクハット、そしてえんび服を着てる。 顔は少しだが意音に似ていて、同じステッキを持っていた。
/351ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1201人が本棚に入れています
本棚に追加