千雪

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小さな小さな町中。地元の人達しかいないような和風茶屋の外に置かれた赤い布を被せたベンチに数人の男逹が酒を飲んでいた。 声は大きくがたいもでかい彼らは刀を掲げて笑った。 店の中では常連のお爺さんやお婆さんが迷惑そうに顔を濁らせた。 困ったように彼等を見ている店員の中一人の女の子が彼等を睨み付けながら彼等に近寄って口を開いた。 「お客様。他のお客様にご迷惑なので少し静かにしてください」 「あ?」 「わしらは客やぞ」 男逹は女の子に詰め寄ると睨み付けた。だが女の子はそんな男逹に対して身動ぎもしなかった。 「迷惑です」 「団子一つくれんかのぅ」 ベンチから声がし皆見ると先ほどまで男逹が座っていたベンチに一人の少年が座っていた。 「お嬢さん。団子一つお願いできますかな?」 少年の言葉に女の子は違和感を覚えた。見た目は肩にかかる黒髪を上の方で一つに結び。切れ長の目は強い意思を感じた。そしてストールを巻いた今時な少年なのに喋り方が年寄りみたいなのだ。
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