妖刀

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「私を冷たい兄のように言うな。さて慧、桜を家まで送り届けてくれ。私は店に戻るから」 藤屋の少年は桜並木の分かれ道で止まって弟の肩を軽く叩いた。だが少女は藤屋の少年を見て慌てて口を開いた。 「私も行きます」 「ですが藤屋の仕事をまだ結婚前の貴女にさせるわけには…」 藤屋の少年は困ったように弟に助けを求めたが彼は面倒さそうにそっぽを向いてしまった。 「私もいずれは千雪様の助けになる為働きます。藤屋の仕事の勉強をさせて頂きたいのです」 少女は藤屋の少年に詰め寄った。弱々しい彼女が珍しく強く出たため彼は戸惑ってしまった。 「良いんじゃない?父様も桜が好きだし、コイツ頑固じゃん」 「慧様!私は頑固ではありません」 「いーやー頑固だね。小さい頃だって…「慧様!」 言い合う二人は幼く兄妹のようでだと藤屋の少年は思って小さく笑った。 彼女は直ぐ様藤屋の少年の反応に気付くと不愉快そうに唇を尖らした。
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