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ヒカルは懸命に魔法を扱おうとしていた。
ヒカルの使える魔法は炎の類。
何とか小さな火を作り出すことには成功したが、上手く操れない。
ヒカル自身の能力(ちから)が少ないのか自分の思い通りに動かない火にも、投げ出すことなく、一生懸命操縦を試みている。
「ヒカルくん~!どんなん~?あ!炎できとるやん!!」
「…一緒に練習しないとなかなか上達しないわよ?」
対照的なことを言う二人だが、もちろん二人ともヒカルのことを思ってである。
「アイルちゃんにレイナさん……」
ヒカル、と呼ばれているこの男の子にも、女の子にも見えるおとなしげな少年(少女?)は、ダークブラウンの落ち着いた黒髪に綺麗な紅い瞳をしていて、中性的な魅力に満ちていた。
「…ごめんね…二人とも……僕のとこまで来てもらって……」
「かまわんて!そんなん気にせんて、いつも言うとるやん!」
「そうよ、ヒカル。そんなことより、練習しましょう?貴方は少し…対戦をして強くなったほうが良いわ」
「…え……対戦……?」
レイナの言葉に少し幼い表情の中の瞳が揺れる。
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