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涙なんてもう流れないと
思っていたのにいつも頬は濡れている。
いつでも心が何かを訴えていた。
何度皆のように笑って生きたいと思っただろう?見えるのはただ、暗闇……………
何度目かわからない、薄暗い朝が来た。
私の隣に誰かがいた。
何も話さない。ただ笑っている。
私の目を見て。
私の隣に座ってただ笑っている。
『素直に泣いてもいいよ?』
笑いながら言ったその言葉に答えるように泣いた。いつもと違う涙。
悲しい。感情がちゃんとある涙。
誰かわからない人の腕の中でずっと泣いた。誰かが居ると素直に安心した。
泣き終えた私の目をジッと見てその人は私の手を力強く握った。暖かい。少し目が潤んでいた。
『あなたは必要な人だから!諦めないで!』
それだけ言ってその人は出て言った。
泣きながら笑った。
嬉しかったから笑えた。
幸せ、と心が喜んでいた。
ああ私は、必要とされたかったんだ。
強がってたけど隣に誰かいて
必要だよと言って欲しかったんだ。
そう気付いてまだ泣いた。
握られた手が暖かかった。
私を少し元気にしてくれた。
目が覚めた。夢だった。
でも手が暖かかったし、枕は濡れていた。
久し振りに制服に袖を通した。
私は笑えてた。
スッキリしていた。
あれは、誰なのか。
分かったのはそれから十年後だった。
幸せで幸せで笑えてて
鏡を見て映っていたのはあの時助けてくれた人だった。
諦めないで良かったと、思えた。
ありがとう私。
私今、幸せだよ。
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