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「いってぇ…」
「だからさっきから何度も謝ってるでしょう?」
俺はお嬢様を起こしてるだけなのに…毎日毎日こうして傷が増える。
謝られても全然謝られてる気がしない…
「レディの部屋に勝手に入ってくるなんて失礼ですわ!!」
ノックしましたー、なんて言葉は呑み込んで、俺はにこやかにティーカップを差し出した。
「申し訳ございません」
「………」
お嬢様はこれに弱い。
こいつとは子供の時から一緒なんだ、どこが弱点なのかはすぐに分かるさ。
「…伸吾…」
「はい?」
軽く俯き顔で俺の名前を呼ぶお嬢様。
可愛く思ったなんて絶対ないない。
「普通にして?」
俺は笑顔を消すと同時に小さく息を吐いた。
敬語なんて苦手だ。
「ったく、お前はいつまでたっても自立しねーなー。朝くらい自分で起きろよ」
お茶を注ぎ、きりねの前に置く。
「うるさいわね、仕方ないでしょ?朝弱いんだから…」
きりねはそう言うとパンを一口かじった。
「それに、私を起こすのも執事である貴方の仕事よ?」
ふふんと偉そうに言うきりねを見て俺は
(いや、さっき勝手に部屋入るな的な事言われましたけど!?)
と心の中でツッコんだ。
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