404人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
「玲菜ちゃんがキスをすれば、指紋認証のように唇のデータが登録されて、起動するの」
続けて聞かされた取扱方法のワードが妙に現実的に聞こえる。
「ほら、ほら。早くしてみて」
嬉しそうに急かすママに背中を押され、抵抗感はあるものの『起動』という事務的な作業だと言い聞かせ、私はロボットに顔を近づけた。
私が欲しいと言ったものだ。
ここで今更いらないなんてことは言えないもの。
これは事務的作業。
愛情表現としてのものじゃない。
そうして特別な感情を抱く事もなく口付けると、ロボットの体内からウィィィン……と機械が作動する音が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!