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心臓が止まりそう
例えば中学生の時
授業で使うコンパスを忘れて
偶然クジ引きで隣なってしまったあの子に
「コンパス貸して」が言えなくて
例えば高校生のある日
バス停で同じバスを待つあの人に
話しかけられないように離れて並んだ
例えば同窓会の二次会で
「久しぶり。元気だった?」の変わらない声に
馬鹿みたいに「うん」とだけ答えた
いつも
何度も背中を押してくれた女友達がいて
「大丈夫だから行け」と受け合ってくれた男友達がいて
もう何年も過ぎて
目線の先の相手も変わって
なのに
すれ違う度にドキドキするあの人の前での
いまだに続くこの体堕落は
一体どうしたものかしら
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