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ホームルームが終わると同時に教室を出た俺は、ある場所へと向かっていた。
その場所とは……、
義之「学園長室……」
別に何か悪いことをしたために呼び出された、とかそういうわけではない。
まぁ、そういうことで呼び出されることが全くないわけではないが、少なくとも今日は違う。
ちょっと届け物があったのだ。
――コンコン
義之「すみませ~ん!」
ノックをしてみるが返事はない。
義之「席をはずしてるのかな?」
ドアノブをひねってみると、どうやら鍵はかかっていないようだった。
ちょっと外してるだけかな……?
だったら、中で待たせてもらおう。
中は学園長室にあるまじき、純和風の空間だった。
今の季節には何故かコタツまであしらえている。
???「あん!!」
鳴き声が聞こえたので部屋の中央を見ると、妙な生物が鎮座していた。
はりまお「あん!」
こいつの名前は『はりまお』。
学園長が買っている……犬だ。
……何か違う気がするけど、多分、犬だと思う。
少なくとも、飼い主は『犬だよ』と言っていた。
義之「おっす、はりまお。飼い主はいないのか?」
はりまお「あんあん!!」
はりまおは、犬とは思えないほど大きな尻尾を振りながら、俺にまとわりついてきた。
人懐っこくて可愛いので、『本当に犬なのかどうか?』なんてどうでもいいことのように思えてくるから不思議だ。
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