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杉並「いや~、昨日偶然にこの洞穴を見つけてな」
自信満々に声を張り上げる。
杉並「見てみろ!こんな僻地にひっそりと口をあける洞穴
まわりはツタで覆われ、入り口には有刺鉄線。そして進入禁止の立て看板
明らかにここ数年誰も足を踏み入れてないことが推測される佇まい
どこからどうみても、なにか秘密が隠されているとしか思えない素敵スポットじゃないか?」
義之「で、メシは?」
杉並「…………」
義之「…………」
杉並「メシだと?貴様はこの素敵スポットを目の前にしてそんな言葉しか出てこんのか!
見損なったぞ桜内」
義之「俺は腹が減ってんだよ」
睨みあう。
バカらしくなって止めた。
こんなとこで杉並と睨みあってたってしょうがない。
腹が膨れるわけじゃないし、どうせここまで来たら杉並に付き合わざるを得ないだろう。
つーか帰り道がわからない。
義之「はぁ~」
面倒なことはとっとと済ませるに限るよな。
義之「しゃーねーな。さっさと中はいるぞ」
杉並「おぉ、さすがはMy同志桜内。わかっているではないか」
義之「とっとと終わらせてメシ行きたいんだよ。で、これからどうする?」
入り口を塞ぐように張り巡らされている有刺鉄線をつまむ。
杉並「これを使え」
どこから出したのか、杉並の手にはペンチが握られていた。
杉並「常に七つ道具は携帯しておく。世界の常識だぞ」
んな常識は知らない。
そもそも何の七つ道具だよ。
心の中で毒づきながらも、ペンチで有刺鉄線を切断する。
義之「さてと、それじゃあ入りますか」
俺たちは洞穴の中へと進んだ。
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