scene,1...茨姫

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気がついたらそこは天国……なんてことはないようだ。 月明かりが強い夜と表現出来るここは、一応自宅だろう。 自分の部屋だからわかる――と、普通の人なら言えるのかもしれない。 だけど私の部屋は非常に殺風景。 どこか信用出来ない。 「誰か…居ませんか……?」 呟いてみる。 でも虚しく響くだけだった。 あまりにも静か過ぎると、不気味を通り越して落ち着いてしまう。 思考が冷静さを取り戻すことはないが。 ……なんだろう。 少し外が気になる。 窓を開けて外を見ることにした。 「わぁ……――」 声が自然とこぼれ出る。 それはまさしく、感動と呼ぶことが出来るような声音。 景色に見取れてしまった私は、ここから逃げ出すことを諦める。          §
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