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「くくっ、何でかな。この危機的な状況でも微塵も負ける気が起きん」
今まで結構な量の精神力を消費したシュウイチだが、先程から逆に自分の精神力がどんどん増加しているような気がしていた。シュウイチは最初、それをただの幻覚だと判断していたが、どうやらそれは幻覚ではないらしい。
シュウイチの懐に入れられている宝玉が血のような赤色に染まり発光し始め、シュウイチは何故この宝玉をリクが厳重に保管しているのか理解した。
「それを、使ったのか」
トモは足の傷口を押さえながらシュウイチが持つ宝玉を見て目を見開き、シュウイチから溢れるように放出される精神力に気圧される。
「それを安易に使用するな、それの危険性がお前にはわからないのか!」
「いや、わかるさ。これはドーピング薬みたいなモノだ、使い過ぎれば身を滅ぼすし使えば副作用が出るだろうな」
ハクが激昂しながらシュウイチに忠告するが、シュウイチも宝玉の能力を見て大方副作用があるだろうとは予想していたし、そもそもシュウイチの意思で宝玉が発動したのではなく、宝玉は勝手にその効果を発動したのだ。
宝玉の効果は二つ、精神集中の必要がなくなる事と、瞬間的に引き出せる精神力を爆発的に増加させることが出来ることだ。
つまり現在シュウイチは精神集中をせずに、隙を作らず全ての技をいつも以上の威力で発動する事ができる。
シュウイチは宝玉を発動させたまま悠長に行動するのは流石にマズイと思ったのか、即座に避けようのない最大級の技を放つことにした。
「黒流覇」
繊細な炭素の操作が必要のないその技は単純故に、宝玉とは相性は良い。360度全ての空間に膨大な量の炭素を出現させ、全て例外なく炭素の波に沈めるという単純極まりないその技により視界全ては闇に呑まれ、シュウイチから半径1キロ以内にいるものは一部を除き圧殺された。
「流石にあれだけ精神力を高めれば、命の危機を感じてはね起きるか」
シュウイチの口元から血が流れるが、シュウイチは気にせず目の前の赤い顔をした男に笑顔で話しかけた。
「それを、返せ。死ぬぞ」
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