侵略の炎

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(大気なんていうちゃっちな物を操る能力なら、すぐに決着はつく。油断はしないが他の中将達が駆けつける前に倒さなければいけないんだ、悠長に駆け引きをするのは止めよう) 「それに、らしくない」 カイは構えを解くと堂々と歩き、大将との距離を詰める。 肉弾戦に持ち込めば負ける筈はないのだ、小細工を使われようがカイはやられない自信がある。 堂々と歩み寄ってくるカイを見ても大将は後退してこない所を見ると、よほど自分の能力に自信があるのかそれとも近接戦闘に自信があるのだろう。 (射程圏内に入った!今度は手加減なしでいかせてもらうぞ) 身長を縮んだとはいえカイの方がまだ圧倒的にリーチは長い。全身に力を漲らせ、地面にヒビが入る勢いで踏み込むと当たれば確実に人体を粉みじんにする拳を大将に向かって振るった。 「肝が冷えるような拳だが、残念当たらないよ」 大将の言葉を聞きながらもカイはすばやく拳を連打する。音速を超えるような拳に対してゆらりと落ちる葉のような動きで大将は回避し、一撃も被弾することなく対処していく。 カイの拳のスピードによって風の刃が生まれ、本来なら大将の体を切り裂いている筈なのだ。大将の能力は既に発動していると見て間違いはないだろう。 「身体能力は向上しているようには見えない、支配系か自然系か?」 「さてね、このままだと千日手になりそうだ」 カイは動きを止めることなく大将に問いかけ、大将は涼しい顔でそう返答する。切羽詰まっている様子は伺えないので、まだ余力はあるのだろう。 (このクラスの能力者になると何でもアリなのが困ったところだ、幸い火力はないようだから少しずつ追い詰めていくか) カイはそう思い、拳の一発一発の威力を減らす代わりに手数をどんどん増やしていく。機関銃のような拳の乱射によってカイの両腕が可視不可能な段階に到達する。 一万、二万と放たれる弾丸は全て空を切る。あたかも拳が自然に大将からそれているようにカイには思え、違和感を感じる。 それだけの回避技術があるにも関わらず、敵が攻勢に出てこないのもおかしい。
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