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春の肌寒さが残る夏と言うにはまだ早すぎる季節。
夜が明けたばかりの薄暗い道を一人歩くのは俺、音憑太郎(おとつき たろう)。
「くぁ……」
あくびを噛み殺しながらつくづく思う。
一人で徹カラなんてするもんじゃない。
眠いは喉痛いはでコンディションは最悪だ。
帰ったら寝よう。宿題やらなんやらあった気がするが知らん。明日すればいいだろう。
だいたい休日にまで勉強を強要するのが間違っている。
もっと個人の自主性を尊重すべきなのだ。
宿題なんて生徒を信用してない証拠じゃないか!
などと、くだらないことを考えていたらいつの間にか家に着いていた。
ところが見慣れたはずの我が家に異質な空気をかもし出している所があった。
「ん?何だ?」
玄関前で体育座りをし、顔をうずめている人がいたのだ。
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