『資格-K-』

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「ごめんなさいLa Verite様…私が悪かったのです…。私が何も言わなかったばかりに…」 悪いのは自分なのに、何故かEspritが謝った。 罪悪感で心がいっぱいになった。 「この…!」 La VeriteがEspritを殴った。 Espritは砂浜に打ちつけられ、少しぐったりとしたようだった。 「なんてことを…酷いじゃないか!」 思わず声を張り上げた。 「黙りなさい!貴方は私の世界を…Oの世界を汚そうとしたのよ!当然の罰よ!」 「La Verite様…ごめんなさい…」 自分は少女が何故謝るか分からなかった。 「ふん…次触ったら…二人とも殺すわよ…」 そう言ってLa Veriteは消えていった。 「大丈夫?」 「えへへ…ごめんね…Kは悪くないのに…」 途端にLa Veriteに対する憎しみが生まれた。 「あの女…!」 「違うの…あれはしょうがない事で…」 「しょうがないはずがあるか…!」 「……」 しばらく波の音だけが世界を制していた。 「もう大丈夫…行こう?」 「……」 扉に手をかけ、一気に押した。 扉の向こうはこれまた変な世界だった。 見た目は千住の神社だが…空が紫で、桜やイチョウの木がそれぞれ色を魅せている。 寒くも無く熱くもない。 風も無く音もない。 時間の進みすら感じられない。 天気だって晴れでもなく曇りでもなく雨でもない。 夜でもないし昼でもない…そんな世界。 「ここは精神の世界。色々な精神が此処にあるの」 まるで夢日記のようだ。 「凄い…」 唯唯それしか言えない。 「行こう?」 「何処へ?」 「えと…」 Espritは何やら紙を出して確認をしているようだった。 「…あっち」 そう言って学校のある方向を指差した。 「えと…」 「Espritだから『心』って呼んでくれればいいよ」 「じゃあ心…道は分かる?」 「……」 「……」 先が思いやられた。 、
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