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放課後
帰ろうとしたIの腕をつかんだ。
「何…?」
「I、何か知ってるだろう」
「何のこと?」
「Oだよ。昨日何があった?」
「なんのもないよ。痛いから放してくれないか」
「今日のI変だったぞ。必ずあるはずだ」
「何故そう言える?」
「それは…」
「いいから放してくれ…俺だって本当に…」
Iが何かを言おうとした時、ガラッという音を立てて担任が教室に入ってきた。
「おう、いたか」
「先生、Oは?」
「ああ、あいつの自転車が千住の神社で見つかってな、そこから何処かへ行ったようなんだが…少し変でな…」
「変?」
「神社の裏、そこは一昨日降った雨の影響で土が泥のようになっていたんだ。そこにあいつの靴の足跡があってな…」
ここまで聞いたところ、おかしなことは一つもなかった。
Oは神社が好きで、たまに一緒に帰ると神社へ立ちよらさせられた。
「その足跡が、あるところで忽然と消えるんだ」
「足跡が?」
「ああ、しかももう一つ小さな靴の足跡が横に並んでいるんだ…それも同じ所で消えている…」
小さな靴の足跡…一体誰の…そして急に途絶えた足跡…
「おいI…」
Iに問おうとしたが、すでに教室から走り去っていた。
自分も追おうとしたが、担任がそれを止めた。
「K、お前は大学の推薦申し込み書を書かなければならない」
こんな時に…
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