『プロローグ-I-』

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    《Iーside》 「奇妙な朝だなぁ…」 雲ひとつない朝だった。 「何か良くないというか…なんだろ?」 何かがおかしい、今までとは違う。 そんな疑問を持ちながら地面を蹴り、自転車を走らせた。 ジャネヴなのかな? ーーーーーー ーーーー ーー 学校では既にOが登校していた。 「よう」 そんな気軽い挨拶にOは驚いた様子だった。 「何だ、驚かすな」 「挨拶しただけだろう。そう驚くとは失礼だぞ」 「はは、そう怒るなI。お前の存在感の薄さが悪いんだろう。俺は悪くない」 「ああそうですか。昔同じようなことを言われたよ」 こういったやり取りは入学当初から続いている。 なのに、今日が特別の日であるかの様な変な感じがする… ーーーーーー ーーーー ーー 実習中、相変わらずOとKは張り合っている。 見てる方としては、面白いし後々教えてくれるから助かるけどね。 ふと、空を見ると、そこに何か居た。 「ん?」 外からの光で逆光になっていたから顔は分からなかったけど、それは確かにいた。 一瞬、瞬きをし、目を開いた時にはもうそれは居なかった。 まるで白の中にいる黒のような何か。 それは人のような形をしていて…身長は170cm位に見えたけど…そんな事を考えている時、教室に笑いが起きた。 どうやらOが何かおどけたらしい。 あれはきっと唯の思いすごしだ…と言い聞かせ、作業に戻った。
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