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昼休み
席が隣だった事もあったし、話題的にも釣り合うKと飯を食べながら話していた。
「あの声優が今度は…」
「へぇ、まじで?あの人がねぇ」
大抵、こんな話題で盛り上がる。
声優ネタでは負ける気がしないな。
「ちょっとトイレ…」
急に尿意が来たので席を立った。
廊下は相変わらず閑散としていて、ごく一部のカップルが踊り場で弁当を突っつきあう姿が見受けられるだけだった。
「はぁ…」
今日のこの感じは何だろう?
さっきの影はどうも本当のように思えて仕方がない。
そう思っているとトイレが一瞬暗くなった。
誰かが明りを消したわけではない。
元々、明りなどついていないし、あるのは窓からの光だけはず。
という事は、窓の前を何かが通過したとしか思えない。
「まさか…さっきの?」
トイレには俺一人しかいなかった。
「いや…きっと疲れているんだ。昨日深夜までゲームしてたしなぁ」
馬鹿みたいに独り言をつぶやいた。
もう、心の中ではあれを確信してしまっていたからかもしれない。
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ーーーー
ーー
放課後、急に議論が始まった。
今回は魔法についてか。
結構ファンタジー系の小説を読んできた俺にとっては簡単な議題だ。
「魔法とは何か」
「あれは魔法陣的なものであって、科学の介入が…」
「いや、待ちなよ。お前の意見も分かる。しかしだな、科学なんてものを信じてはいけないよ」
大抵、このようにOとKの対立みたいになる。
俺はどちらかの意見を理解して、それのどちらかに賛同するようにしていた。
今日はKが正しいと思ったからKの意見に賛同した。
Oの意見も分からなくはないんだけどね。
「もう五時だ、帰れ」
この学校では5時になると帰らなければいけないらしく、用があるKを置いてOと帰った。
しかし、そのOも途中、用があると言いだした。
「用があるんだ、これで…」
「そうか…」
何故かOを見送るのに抵抗がでた。
それがなんなのかは知らないが、もう一生会えないような気がした。
「じゃあ」
「うん、じゃあ…」
しかし、それを止めはせず…いや、止める理由が無かった。
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