『神-O-』

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「O」 私の名を呼ぶのは先程の少女でした。 しかし…もう少女ではありませんでした。 「どう?」 すらっとしたスタイル。 格好は同じですが…色々と大きくなっていました。 私より数センチ小柄なだけで、残り全ては私以上に大人でした。 「美しいです」 「ふふ、ありがと」 「で?此処は?」 「境よ」 「境?」 「そう、嘘と真実の境」 私にはさっぱりでした。 しかし、此処が先程までいた世界とは違う事は気がつきました。 「行くわよ」 彼女はまだ手袋を着けていませんでした。 それでも私の手を取ったので私は恥ずかしかった。 しかし、大きくなった分、手を引かれても不憫ではありませんでした。 しばらく海を歩いていると、また扉がありました。 さっきとは違い、鉄で出来ています。 「此処まで来て言うのもあれだけど…今なら帰れるのよ…?」 「何を…貴女が呼んだのでしょう?最後まで共に…」 「最後まで…ね」 扉は重かった。 これはギャグでしょうか?扉の先には6畳の部屋。 ちゃぶ台一つに、扉がこれを合わせて二つ。 押し入れに冷蔵庫にキッチン。それしかないのです。 「…」 「私はこれを気に入っているのだけど…」 何の変哲もない和室(?)。 おかしいのは窓がない事だけ。 「此処は?」 「私のお気に入りの場所よ。寝泊まりも此処でしているのよ」 「…」 「分かったわよ…この世界の姿を見せてあげる」 もう一つの扉に手をかけました。 その瞬間、私は衝撃に打たれました。 何万人という人々。 それが分かったのは声でした。 わぁ!という声の束。 それが聞こえたのです。 扉を開けると、そこは少し高い場所でした。 階段があり、その下にはやはり何万人という人々。 見渡す限り人、人、人。 模様のようにも見えるそれに唯唯驚くだけでした。 「この人間達は、貴方を見に来たのよ」 「…」 声も出ませんでした。 理解できない…こんなに…なぜ…。 「O!O!O!」 と私の名前を叫ぶ人々。 混乱するのも分かるでしょう? 「ようこそ、世界へ」 彼女はそう言いました。 「貴女は一体?」 「自己紹介がまだだったわね。私の名前はLa Verite」 「真実…」 「そうよ。そして…この世界を仕切る神よ」
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