『資格-K-』

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直感。自分はそんなものを信じてはいなかった。 しかし、こればかりはそれを信じよう。 「OとIを何処に?」 「その直感は正解よ。でも、教える資格が貴方にはないの」 「何故!?」 声を張り上げた。 しかし、声は響かない。 それは自分の声が擦れていたからだった。 「悔しい?」 「…」 「でもね、それが必然というものなの」 「どうすれば…」 「ねぇ、何故私が此処にいるか分かる?貴方なんてどうでもいいのに」 「…何故?」 「それはね…貴方に資格を得るチャンスがあるからよ」 「チャンス…何だそれは!何をすればいい!」 「落ち着きなさい。それは…精神を歩く事よ」 「精神を…」 「あの二人はそこを歩く力があった。貴方にはその力がなかったのよ」 「……」 「でも、この子がどうしても貴方の力を信じて聞かなくてねぇ」 そう言って少女の後ろから出てきたのはやはり少女だった。 「はじめまして。Espritです」 そう自己紹介された。 白いワンピースに長い髪。 この季節には寒い格好に違いなかった。 「さぁEsprit、早く連れて行ってあげなさい」 「はい」 心の準備が済む前に…いや、状況を理解する前にEspritという少女は自分の手を引いた。 身長が無い分不憫だった。 「それじゃあ開けるよ?」 それは屋上の扉だった。 「……」 自分は黙って従ったが、あまりにも馬鹿な事をしているようでならなかった。 しかし、扉を開けると海が見えた。 「はぁ?」 思わず声を出してしまった。 「行こ」 少女はそんなこともお構いなしに進んだ。 薄暗い空に変な月。 此処が精神とやら? 「あれ」 どうやら精神とやらは変てこな扉の先にあるらしい。 その隣には木で出来た扉があった。 「この木の扉の先には貴方の友達Oがいるよ」 「Oが…!」 自分は迷わずその扉に手をかけようとしたが、ものすごい力で誰かが自分の手をはたいた。 「無礼きわまるわ!」 それは先ほどLa Veriteと名乗る少女だった。 いや、もう少女では無かった。 すらっとした少し背が高い女だった。 「貴方…誰に断ってこの扉に触るか!この扉に触れていいのは私とOだけよ!」 凄く怒っているのが分かる。 何故?何故そこまで…。 、
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