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昼休み。
例のごとく私は孤独な人間と呼ばれるものになり変っていました。
耳にはイヤホン、手には芥川集。
まるで入る余地のない、檻のような空間が私を取り巻いていたのでした。
無論、私は芥川を信仰するような人間でしたから、イヤホンから入ってくる音は無です。
むしろ、環境音さえ聴こえてくるほどなのです(その環境音にはIとKが会話する音も混ざっています)。
放課後。
私は強運でした。
彼らの議論に巻き込まれたのです。
「魔法とは何か」
「あれは魔法陣的なものであって、科学の介入が…」
「いや、待ちなよ。お前の意見も分かる。しかしだな、科学なんてものを信じてはいけないよ」
私は否定家でしたから、Kの科学的魔法を否定するのでした。
「いや、Kが正しいと思うぜ」
Iに裏切られた。
それは私にとって敗北を意味するものでした。
三人、教室にいる人数です。
嗚呼、この三人という数はなんと不幸なものか。
この場で私は見方を失い、此処が裁判所であったなら、私は黙って死刑宣告を受けなければならないのです。
「もう五時だ、帰れ」
四人目、日直の先生でした。
この学校では五時になると定時制へ変わるので私たちは学校を出なければならないのです。
ほっと安心し、私達三人は教室を出ました。
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