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Kは進路で担任に相談があるようでしたので、私とIの二人で帰りました。
「寒いなぁ」
「お前は皮と骨しかないから余計だろう」
「言うね。そんなお前は厚着をしてみっともないね」
信号機は中々青になりませんでした。
そのせいだと今でも悔やまれるのです。
あの時、信号を無視していれば……
私は途中、用があるから、といってIと別れました。
それは千住にある神社を訪れる為でした。
薄暗く光る小さな箱が神社の賽銭箱へと伸びていました。
私は何度か足を運んだことがあるのですが、賽銭箱の所まではたどり着けなかったのです。
それは不思議なことで、私が賽銭箱まであと少しという所で興ざめ、引き返してしまうのでした。
自転車を鳥居の前に止め、冬の五時の暗さの中、箱に導かれながら賽銭箱まで足を進めました。
「今日は調子がいいぞ」
足はどんどん賽銭箱へと近づき、あっさりたどり着いたのです。
これはこれで興ざめだ、賽銭でも入れて帰るか。
そう思い財布を取り出したとき、後ろに誰かいるのを感じました。
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