Vol.1

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でも、本当に私をお金持ちの子供だからって接してくるんじゃなくて、一人の女として接してくれるあいつには感謝してるわ、うん。 それより、私はやりたいことって言うか夢があるの。 それをこの前、あいつ…椎哉に言ったの。 そしたら、なに?無理だって、お嬢様やってろって言うのよっ!? いくらお嬢様でもやりたい夢だってあるわよ! そんな気分で今発声練習終わったんだけど…。 「はぁあ…担架切っちゃったけど、私にやれることなんて発声練習ぐらいしかないじゃな…」 机の上に伏せていた時に見えた一つのチラシが見える。 それを引き出して見てみればチラシの売りの言葉に 『キミも声優を目指そう!』 え?これ、使えるじゃないっ♪ マジマジとそのチラシを舐めるように見てみれば、まずはチラシの一番下にある応募用紙と顔写真などを同封して送ると書いてある。 それが第一次オーディションだっていうことも。 「ふむふむ、じゃあまずは顔写真ね。飛びっきりオシャレしちゃっていいわよね!」 机をパシッと叩いては立ち上がり、お気に入りの服を取り出そうとゴミの山を乗り越えて現れるクローゼットに近付く。 そこからお気に入りである、淡いピンクで、腰に大きなリボンが特長である膝より短めのワンピースを取り出す。 「やっぱりこれよね♪」 そのワンピースを下から上へと見てはぎゅっとそのワンピースを抱き寄せる。 その時、部屋の扉をノックする音が聞こえると共に直ぐに扉が開く。 「おい、麗夏…って、なにやってんだ?」 「椎哉っ!な、なんでもないわよっ!椎哉こそ返事も無しに開けないでって何度言ったらわかるのよっ!?」 「声掛けたぜ、ノックと同時に。つか、親父さんから電話で、明日一度帰ってくるそうだぞ。伝えたからな。」 そう伝えるや否やすぐに踵を返して部屋を出て行く時に椎哉はニヤリと笑みを零して去っていく。 「な、なんなのよ…あの笑みは。それよりお父様が帰ってくるなんて予想外だわ。部屋をきれいにしなくちゃっ!」 ワンピースをかかえたまま、ゴミの山を降りてベッドにワンピースを放り投げれば、とりあえず明らかにゴミなのを拾ってゴミ箱に捨てていく。 .
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